NABAへのお願い

ある摂食障害者の自助グループ

平成一O年七月八日
NABA運営委員会の皆様へ
梅雨明けも近くなり、連日うだるような暑さが続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、先日お電話でもお話ししましたが、現在私たちはNABAからお借りしたノート(※)を使わせていただいて、ミーティングを行っています。最近になりまして、足を運ぶ仲間が増え、ノートの数が足りない状況となっています。NABAに入会している仲間は自分のノートを持ってきていますが、入会していない仲間が多いため、ノートを数人で見るというのが現状です。そのことで話し合った結果、独自のノートを作り、メンバー全員に渡してはどうかということになりました。
そこで、ノートを作るにあたりまして、NABAノーから文章、ステyプなどを使わせていただきたいと考えております。
つきましては、運営委員会で議題として、私たちのグループにNABAノートの文章などを使わせていただけるか検討していただきたいと思います。お手数をおかけしますが、宜しくお願い致します。
運営委員会の当日には、メンバーが行く予定となっておりますので、その時に改めてお話したいと思います。
まずは流儀ながら書中にてご依頼まで。

トモ&トモコ

NABAからの返答

前記のようなお手紙が、ある摂食障害者の自助グループからNABAに届きました。早速、七月一四日のNABA運営委員会で、「NABAノー卜にならって、独自のノートを作りたい」という要望について話し合いの場を持つことになりました。当日は、前記のグループのメンバーのトモちゃんとトモコちゃんも駆けつけてくれました。

実はそれ以前に、NABAノートの文章を、無断で使われていたということがあり、話題になっているところでした。具体的にお伝えすると、援助者(この場合は心理士)の方が中心になっている、ある(自助)グループから、そのグループやミーティングの紹介のチラシが届いたのです。そのチラシは、「NABAとは……」の説明や、「NABAでの回復とは……」の文を、NABAの名前の箇所が、そのグループ名に入れ替えただけで掲載されていました。文章には、その援助者の方のお名前で「これから頑張っていきますので、よろしく」と言った挨拶文もありました。それを見た私たちは、「使うなら使うで、何か一言、前もって言ってほしかった。仲間だったらともかく、援助者が……」との感想を持ちました。時聞は少したちましたが、そのグループの方に、率直に自分たちの意見を伝えようということになりました。ただ、「では伝えるって何を?」というところで運営委員会の場で話し合おうということになったのです。

今後、こうしたことにどう対応していきたいか?ここではとりあえず、どのような返事をするかを話し合って出た案をお伝えします。

一、あくまでもNABAノー卜のまま利用してもらい、NABAという名前のところは、そのつど各グループ名で読み替えてもらう。
二、文章も含めて、全般的に、そのグループ独自の物を作ってもらう。
三、NABAの名前のところを各グループ名に替えてもらってよいが、文章の最後にでも、一言「NABAから」といった文を添えてもらう。

ちなみにこれまでは各地域でNABAの活動に賛同して、摂食障害本人の自助ミーティングを開いているところには希望があった場合、ミーティング用として、NABAノート三冊をお渡ししています。
他に、NABAの財政難を苦慮している方から、NABAノートに値段をつけて各グループに買ってもらうという案も出されましたが、やっぱりNABAノートは会員にとって大切な物だから、売り物のような形にするのは止めようということになりました。
NABAノート自体や文章は、その時々のメンバーたちで考えて作った物ですが、作る際に、私たちもたくさんのグループから言葉をお借りしたり、寄せ集めたりしたこともなかったとは言えません。またノート内には、精神科医・斎藤学氏による回復や成長に向かうための文章も載せているのが事実です。それでもやはり自分たちのカで、作りまとめた物です。そうした物が他で使われたり、望まれるのは、とても誇りであり嬉しいことです。本来、けちくさいこと言つてないで、どうぞどうぞと言いたいところもあります。ただ、何のご連絡もなく、使用されるのには、やはり抵抗があります。
今回は、これも結論が出ていないまま、とりあえず現状のみお伝えして終わりにします。何か良い案がある方は、どうぞ教えて下さい。お知らせ下さい。

(文責・桃江)
【二ユーズレターNo.31:一九九八年 七月】

※NABAノート…NABAメンバーたちが独自で作り使用してきたノートで、メンバーのみに配られ、ミーティング時に使用することを主な目的とした非売品のパインター式ノート。