やどかりメンバー やよ
青梅市のある老人病院では、患者第一、患者はお客様という趣旨を徹底させるため、「患者様」と呼ぶようにしているそうです。どう呼ぶか呼ばれるかということはどうでもいいことですが、患者をお客様であると認識することについては、ようやくそういう医療機関が現れてきたかと嬉しく思います。
ある日曜日、娘Mが、吐けなくて苦しい、医者に行きたいと言うので、どこに連れて行っていいかを一一九番にかけて状態を話し尋ねました。そして教えられた休日診療をしている病院(生協系)に行きました。当日当番病院として診療中のところですから、閉めているところをたたき起こしたわけではありません。ところが受付も、問診をする看護婦も超スローでさんざん時聞を経過して、ようやく診察室に入ったかと思うと、また「どうしました」と聞きます。「何のための問診なんだ、色々聞いたくせに」と思いつつ、それでもMは辛抱強く同じことを答えました。摂食障害でいつもはちゃんと吐けるのに今日は吐けないので吐けるようにして欲しいことを。そうしたら奴は、「、どうして食べたものを吐くの。体に良くないよ。どうしても吐きたいと言われでもここは内科だから吐かせることはできない。外科に行くように」と言うのです。その問、家を出てから約二時間は経過していました。
私は、Mにもう一度一一九番に聞いてみるからとことわって、公衆電話で外科の休日当番医に尋ね、再度状況説明をして吐かせてくれるかを確かめましたが、それは診てみなければわからないということでした。
とにかく、そこからかなり離れた場所にある外科に行こうとMを促すと、Mはもう行かない、また同じことを繰り返して時間ばかり経つし、嫌な思いするのはもういいよ、と言うのです。
この時、普段感情を表さないMが久しぶりに腹を立てたことを、うれしく思ったのは事実ですが、それはそれとしてこの一一九番の電話担当から医師まで、医療の専門家のくせになんと認識不足か、摂食障害について知らないなら知らないと言えばいいのに、根ほり葉ほり聞くだけ聞いて、何もできないんじゃ、この時間はなんだったのよと私も頭に来ました。
このように医療関係者のプロとしての知識不足は論外ですが、偉そうな態度やつんけんしたもの言いをすることにもよく出会います。マスコミで取り上げられるような有名診療所などでは、電話で最初に応対する受付からして横柄な態度をとるのはどうしてでしょう。
また弱い立場の患者に対して一段上の高みに立って、「助けて欲しいの?」、「何とかして欲しいの?」とまるで幼い子供に対する親のような態度は、小児科にのみ許されるごとだと思います。
対等に大人同士として、もっと言えば「お客様は神様です」位の気持ちで向き合って欲しいと思います。
時間に追われる忙しい毎日で余裕がないごとは良くわかりますが、サービス(広い意味の)を忘れないでいて欲しいと願っています。
【ニューズレターNo.31:一九九八年 七月】