赤岡崎高原ホスピタル院長 竹村道夫
赤城高原ホスピタルは、一九九O年に群馬県の赤城山麓に開院されたアルコール依存症の専門病院です。摂食障害とアルコール問題の密接な関係のために、この数年摂食障害の相談ケースや入院患者が増えてきました。当院入院患者の大部分は、過食に自己誘発性恒吐とか利尿剤、下剤乱用などの浄化(purging)を伴う方々ですが、一部過食のみの方、拒食が中心の方もいます。アルコール・薬物乱用、自殺未遂、自傷行為(特に手首切傷)、万引き、買物癖、恋愛・セックス噌癖、ギャンブル癖など、多数の噌癖問題を合併している方が多いのも特徴です。これらの患者さん方や、その家族は、これまで多数の病院を遍歴していたり、治療関係自体から傷ついていることも少なくありませんでした。治療初期の彼女たちは、依存的・無防備・不安定で危険がいっぱいです。
治療開始に当たって、私たちはまず第一に彼女たちを傷つけるような処方薬乱用や精神療法乱用(医療乱用?)、さらには精神的・身体的暴力や性的乱用から彼女たちを守る「安全な」場所と環境と時間を提供するために努力しています。治療の決め手は家族(なるべく全員、特に父親)の協力、それを可能にするような家族療法、治療的ネットワークの利用など、そして最終的に集団療法、自助グループ、十分な治療期間です。
当院には月に一度、NABAの仲間が来てミーティングをしてくれています。これは当院の治療プログラムの核のひとつで当院の目指す暖かい治療の雰囲気づくりに大いに役立っています。当院を巣立った方々がNABAメッセンジャーとして当院を訪問してくださるのは、患者さんばかりでなく私たち治療スタッフも本当に勇気づけられます。
今後、ますますのNABAの発展をお祈り申し上げます。